2016年10月 月間アーカイブ

こんにちは。

今回は、ふたたび動き出した活版印刷機についてお話ししたいと思います。

 いよいよプラテン機に再び電源が入る時がやってきました。

ブレーカーを入れ、機械のメインスイッチをONに入れると、側面にある大きな円盤が動き出しました。

操作レバーを握り様子を見ながらゆっくり作動させてみると…。

…見事に動き出しました。シリンダーの伸縮に連動して色々な部品やローラーも動きはじめ、紙を咥えるグリッパ―も‘風車’のように回転しました。

このような動作にギヤの音や、エアーを吸ったり吐いたりする動作音も加わり、まさに“蒸気機関車”のようです。

一通り動作を確認した後、インキを入れて凸版を取り付け、紙をセットして、いよいよ“試し刷り”です。

ボタンを入れると、エアーによって用紙がさばかれて浮かび上がり、‘サッカー’と呼ばれる吸引装置が用紙を吸上げ、その用紙を‘グリッパ―’が掴んで版の位置まで回転し、凸版の位置で止まった後、圧胴にてプレスされ、圧胴が離れるタイミングでグリッパ―が再び回転して排紙台の所で用紙を離します。ここまでが一連の印刷の動作です。

今回は、私の名刺で試し刷りを行いましたが、刷り上がった印刷物を手にとってみると…想像以上の仕上がりに驚きました。

少し厚めの紙に、強めの印圧をかけて凹みを表現してみましたが、版からの再現性も素晴らしく、細かい線や絵柄もはっきりと印刷されており、凹みによる印刷面の陰影も生まれ、手触りも新鮮でとてもお気に入りの名刺が出来上がりました。

 今後も、引き続き活版印刷機の技術と可能性をさらに追求し、実際に印刷した作品をご紹介しながら、皆さまに活版印刷の魅力を沢山お伝え出来ればと考えております。

以上、4回に渡り“活版印刷”についての私たちの想いや復活するまでのエピソードを稚拙ながらご紹介させていただきました。

このブログを通して、皆さまに活版印刷の素晴らしさを知っていただき、ご興味を持っていただけたなら幸いです。

活版名刺はもちろんの事、ポストカードやショップカードetc…、お客様のイメージと想像力をぜひ活版印刷で形にしてみませんか?

 活版印刷について、何かご質問、ご相談がある際は、お気軽にご連絡下さい。

 株式会社きど印刷所

住所:水戸市見川町2558-21

TEL029-241-2525

FAX029-241-2559

mailinfo@kido-p.com

担当:打越(ウチコシ)



こんにちは。

今回は眠っていたプラテン機の“メンテナンス”についてお話ししたいと思います。

 …工場の片隅に鎮座しているプラテン機の所へ。

保護されていた養生カバーを外して改めて眺めてみました。

表現するのが難しいですが、真っ黒なボディに色々なパーツ、ゴムローラーや金属のローラー、配管や握り部分などには銅や真鍮、アルミやメッキ処理がされておりパーツによっては‘管楽器’にも見えたりします。そして、何ヶ所かにシリンダーがあり、側面には大きな車輪のような円盤に駆動させるためのベルトが付いています。

機械でありながらも芸術的な一面もあり、一言で例えるなら「蒸気機関車」。いろいろな方達がこう表現していますが、まさにその表現がぴったりに思います。

 業務が終わった後や休みの日に時間を作り、メンテナンスを進めてきましたが、やはり、昔の機械ですから傷んでいる所も多々ありました。

まず、取り外す事の出来るパーツは全て取り外し、分解出来るものは分解し、フィルターなども掃除してベアリングやネジなど可動部分にも全てグリースアップを行ない、ホース類、パッキンなども劣化していたので交換したり、給油ラインの配管が一部寸断されている所も見つかったので修理を行いました。ゴムローラーも硬度が上がっていたので新しいローラーに交換し調整を行いました。

このような一連の作業を行った事で、‘愛着’がさらに深まり、またプラテン機の‘構造’もかなり理解できたように思います。

 最後に、全体の汚れを落としながら磨き上げる作業を繰り返し、“漆黒色”のボディが蘇り、再び活版印刷機がかつての“輝き”を取り戻しました。

こうして、ようやく電源を入れる所までたどり着きました。

 …いよいよ「活版印刷機が長い眠りから再び目覚める時」がやってきました。

 続きは次回で…。

それでは。



前回に引き続き、活版印刷機をなぜ今の時代に“復活”させたのかをご紹介をしたいと思います。

この「活版印刷」という印刷技術は、15世紀に発明され、これまで500年もの長い間、歴史の中で頼りにされてきた印刷手法です。

昔はどこの会社もみな活版印刷機で印刷をおこなっていました。弊社にあるハイデルベルグ社製「プラテン機」も同様に、以前はたくさんの印刷を行い立派に動いておりましたが、様々な技術革新でオフセット印刷機やプリンターが誕生し、近代化の流れで「生産性」、「多様なニーズ」が求められていく中、弊社に於いてもオフセット印刷機を導入し、活版印刷機でこなしていた仕事も次第にオフセットにて印刷を行うようになり、時代の流れと共に需要も減り、やがて活版印刷機も役目を終える事になった。…そんな時代背景があります。

 役目を終えた「プラテン機」ですが、この活版印刷機については、印刷の原点でもあり、会社の歴史を想う事から大切に養生カバーに覆われ工場の一角で大切に保管されておりました。

 一度は衰退した「活版印刷」ですが、2000年以降、欧米に於いて「レタープレス」(活版印刷)がハンドクラフトの潮流のなかで新たに見直され、多くのレタープレススタジオが誕生しました。近年日本に於いても同様に「活版印刷」が見直され、今や印刷には無くてはならない“選択肢”となっております。

当時は、“Kiss touch”といわれる印圧をかけない‘平坦な印刷’が主流でしたが、現在では“Deep Impression”すなわち‘強く印圧をかける’表現が主流となり、印刷面の凹んだ陰影の美しさが新たな価値として受け入れられています。

 実際にいろいろな作品を手にとってみると、風合いや質感のある紙に印刷されることで、シンプルでありながらどこか懐かしさや温かみがあり、文字の陰影や凹みの手触りも新鮮で、それでいて洗練された高級感も持ち合わせており、『人間の“感性”に響く印刷物』であると感じます。

 現代の印刷機械では出来ない、この「活版印刷」の可能性と素晴らしさをぜひ多くの皆さまに知って欲しい、実際に手にとって感じて欲しい…。

この様な揺るぎない思いが私たちの心の中にあり、“復活”に向けてこれまで準備を進めてまいりました。

 続きは次回で。



こんにちは。

しばらくブログを更新出来ておりませんでしたが、10月に入り、季節もだいぶ秋めいて参りました。

今回は、何回かに分けて弊社の新たな取組みをご紹介したいと思います。

早速ですが、みなさんは「活版印刷」をご存じでしょうか?

活版印刷とは古くからの印刷技術で、「活字」と呼ばれる鉛で出来た文字を一文字ずつ拾い、組み合わせた版の凸部分にインキを付け、紙にインキを転写する印刷の事です。

今、この昔ながらの「活版印刷」が再び注目を浴びてきております。

もともと、「活版印刷」とは『活字』を使用した印刷方法を指しますが、現在では樹脂版やマグネシウム版で凹凸の版が作成出来るようになり、これらの版を使用して印刷を行う方法も総称して「活版印刷」と呼ばれています。この樹脂版やマグネシウム版の素晴らしい点は、ロゴやイラスト、フォントなどをデータからそのまま版に出来る事です。そして、その版を用いて印刷をする際、紙に圧力をかける訳ですが、その圧力によって紙に凹みが生れます。

昔は“いかに凹ませないで平坦に印刷が出来るか”が職人の腕の見せ所だったようですが、最近では逆にその“凹み”が「温かみがある」「手触り・風合いが素敵」「高級感がある」などで、名刺はもちろんグリーティングカードや結婚式の招待状など“大切な印刷物”のために使われる機会が増えています。このようにあえて凹ませる事で現代の印刷機械では出来ないこの質感や風合いがクリエイタ―を始め、感性豊かな多くの人達に新鮮さをもって受け入れられてきております。

さて、この「活版印刷」をこのたび復活させた訳ですが、きど印刷所ではドイツのハイデルベルグ社製のプラテンT型機(通称:プラテンまたはWind mill【風車】)を所有しております。日本では「プラテン」と呼ばれておりますが、海外では「Wind mill」と呼ばれています。なぜ風車、と呼ばれているかというと、実際に印刷機が動いている所をみていただければ、「なるほど…」とすぐに理解できますが、用紙を掴んでいるグリッパ―という部分がぐるぐると風車の様に回転するからです。

この活版印刷機の“名機”である「プラテン機」を導入したのは、今からちょうど50年前の1966年にさかのぼります。

半世紀も昔の機械、まだ私が生れていない時代…の機械がこのたび復活いたしました!


次回はこの「プラテン機」がなぜ復活する事になったのか?についてもう少し詳しくご紹介したいと思います。

それでは。

 

 

 


復活した活版印刷機『プラテン』